囲碁の院生とは?院生になるには?年齢制限・費用・強さを解説【日本棋院・関西棋院】

囲碁の院生とは?院生になるには?年齢制限・費用・強さを解説【日本棋院・関西棋院】

院生は、囲碁棋士を養成する機関で修業を行う、いわば「プロの卵」です。

日本棋院と関西棋院の2つの団体で院生の制度があり、年齢制限や費用は団体ごとに違います。

この記事では、両団体の公式の規程と募集要項をもとに、次の内容を順に解説していきます。

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囲碁の院生とは?プロ棋士を目指す子どもの養成機関

院生とは、プロ棋士を目指す子どもが、棋院で専門的な指導を受けながら腕を磨く制度です。

毎週末に院生同士で対局し、その成績が上位になるとプロ棋士への道が開けます。

囲碁のプロになる方法は院生だけではありません。

院生でなくても外来として採用試験を受ける人はいます。

ただし、日本棋院の東京本院の夏季採用のように、院生だけが対象の採用枠もあります。

プロを目指すなら、院生になるメリットは大きいでしょう。

ここからは、院生の役割、院生制度がある場所、院生になってから守るルールを見ていきます。

院生とは日本棋院・関西棋院の「棋士の卵」

院生は、いわば「棋士の卵」です。

日本棋院の院生制度規程では、制度の目的を「棋士を志す青少年に対して、専門的な囲碁指導を行ない棋士の育成すること」と定めています。

関西棋院も同じく、院生を「将来のプロ棋士を目指すこどもたちが集まる機関」と説明しています。

規定の成績を修めると、プロ棋士として関西棋院に所属できる仕組みです。

院生の中心は、土日に行われる院生同士の対局(院生手合)です。

日本棋院では、毎月の成績によって序列が決まり、クラス間の入れ替えも行われます。

一方、関西棋院では独自の級位制度を採用しており、対局成績に応じて昇級・降級する仕組みです。

この順位を上げていき、採用試験などで結果を出した院生がプロ棋士になる、という流れです。

囲碁だけでなく、礼儀や対局マナーも教わります。

日本棋院の規程には、院生は囲碁の修練に加えて、棋士・社会人として必要な教養や倫理観の習得に努めると書かれています。

院生があるのは東京・名古屋・大阪の4か所

院生制度がある場所は、全国で4か所です。

日本棋院に3か所、関西棋院に1か所あります。

団体 拠点 所在地
日本棋院 東京本院 東京都千代田区
日本棋院 中部総本部 名古屋市東区
日本棋院 関西総本部 大阪市北区
関西棋院 関西棋院 大阪市中央区

注意したいのは、「日本棋院の関西総本部」と「関西棋院」が別の組織だという点です。

どちらも大阪にありますが、団体が違うため、入会の条件や月謝、プロになる仕組みも同じではありません。

日本棋院の3拠点は、共通の院生制度規程のもとで、拠点ごとの実施細則に沿って運営されています。

関西棋院は、独自の「関西棋院院生規定」で院生制度を運営する仕組みです。

院生になるとどんな特典・ルールがある?

院生になると、プロを目指す立場としてのルールを守る必要があります。

日本棋院の院生制度規程(2025年2月4日改定)から、主なものを紹介します。

特に気をつけたいのが、アマチュア大会への参加禁止です。

院生になると、子ども大会や地域の大会には原則として出られなくなります。

院生のアマチュア大会参加は、日本棋院の募集要項でも禁止と明記されています。

一方、日本棋院の院生は日本棋院の売店で割引を受けられる、日本棋院のインターネット対局サービスの一部を無料で使えるといった特典があります。

囲碁の院生になるには?試験と応募の流れ

院生になるには、願書を出して審査を受け、試験碁や面接に合格する必要があります。

大まかな流れは次のとおりです。

  1. 院生志願書を提出する(棋譜の提出を求める拠点もある)
  2. 書類審査・棋譜審査を受ける
  3. 院生師範との試験碁と、本人・保護者との面接を受ける
  4. 合格すれば入会

院生志願書には、推薦者と保証人を書く欄があります。

日本棋院の場合、推薦者はプロ棋士や、指導を受けている教室の先生です。

保証人は両親のどちらかなどで構いません。

試験の細かな内容や募集時期は、拠点によって違います。

順に見ていきましょう。

院生試験の内容(書類審査・試験碁・面接)

院生試験は、どの拠点も「審査・試験碁・面接」の組み合わせが基本です。

ただし、拠点ごとに少しずつ違いがあります。

拠点 審査の流れ
日本棋院 東京本院 書類審査→師範との試験碁(1時間〜1時間30分くらい)→面接
日本棋院 中部総本部 書類・棋譜審査→面接(師範の判断で試験碁を行う場合あり)→研修体験
日本棋院 関西総本部 書類審査・棋譜審査→試験碁(師範の判断で免除の場合あり)→面接
関西棋院 土日に来館し、院生師範との面接と試験対局

東京本院の試験碁は、人数によっては師範が複数人と同時に打つ「多面打ち」になります。

指定された試験碁の日に来られないと不合格になるため、日程には注意してください。

東京本院には、合格後3か月間の試採用期間もあります。

続けるのが難しいと師範が判断した場合は、この期間中に辞退を求められるので、心づもりをしておきましょう。

関西棋院の規定では、院生師範の棋力審査のうえ、院生手合8局で打ち分け(勝ち数と負け数が同じ)以上の成績を収めると採用されます。

また、関西棋院こども囲碁道場の高等部に所属し、規定の級に達した子は試験なしで院生に上がれるルールもあります。

募集時期と応募に必要なもの

募集時期は、東京本院だけが年4回と決まっています。

そのほかの拠点は随時受付です。

拠点 募集時期 主な提出物
日本棋院 東京本院 4・7・10・1月期の年4回(締切は2月末・5月末・8月末・11月末) 院生志願書
日本棋院 中部総本部 随時 院生志願書、最近の棋譜3通
日本棋院 関西総本部 随時 院生志願書、最近の棋譜3通
関西棋院 常時 院生志願書

どの団体でも、志願者の身元を保証する身元保証人が1名必要です。

募集の締切や書類の様式は変わることがあります。

応募する前に、日本棋院と関西棋院の院生募集ページで最新の情報を確認しましょう。

関西棋院は、保護者と本人の見学も随時受け付けています(事前の問い合わせが必要)。

院生に入るのに必要な棋力(レベル)

院生になるには、かなり高い棋力が求められます。

日本棋院は、14歳で六段位が目安とされています。

関西棋院の公式概要で示されている棋力の目安もアマ六段前後です。

ただし、正式な院生規定では男女ともに10級以上を目安とし、院生師範による棋力審査と院生手合8局の成績(打ち分け以上)によって採用を判断します。

また、こども囲碁道場の高等部10級に達した場合や、特段の実績が認められて院生師範2名以上の推薦を受けた場合など、通常の試験を必要としないルートも。

日本棋院の中部総本部は「年齢に応じた棋力が必要」とも書いています。

14歳で六段というのはあくまで一例で、年齢が低い子は、その年齢なりの棋力で判断されると考えられます。

具体的な基準は公開されていないため、気になる場合は各拠点に問い合わせてください。

囲碁の院生は何歳から何歳まで?年齢制限を解説

院生の年齢制限は、日本棋院と関西棋院で大きく違います。

日本棋院は「志願できる年齢」と「在籍できる期限」の両方が決まっていて、どちらもかなり早めです。

関西棋院は入会年齢の制限が原則なく、在籍できる期限も日本棋院より遅めに設定されています。

ここでは、日本棋院の志願年齢と在籍期限、関西棋院の年齢制限を順に解説します。

日本棋院の院生は何歳から入れる?志願できる年齢

日本棋院の院生は、何歳から入れるかの下限は決まっていません。

東京本院では、小学校低学年から17歳までの院生約50名が学んでいます。

一方、志願できる年齢には上限があるので注意が必要です。

院生制度規程では、志願時点で翌年4月1日までに15歳未満であることを原則としています。

募集要項の言い方では、「14歳を迎える年度(4月2日~翌年4月1日迄)迄」です。

つまり、中学2年生の年度までに志願する必要があります。

中学3年生になってから志願するのは、原則として難しいということです。

ただし例外もあります。

志願時に15歳以上でも、院生師範の棋力審査で特に有望と認められれば、研修期間内に限って採用されることがあります。

日本棋院の院生は何歳まで在籍できる?

日本棋院の院生が在籍できるのは、原則として満17歳に達した学年度までです。

院生制度規程では、棋力や年齢などの理由で研修期間を短くすることもあると定めています。

延長の仕組みがあるのは、中部総本部と関西総本部です。

技術と人格が特に優れた院生について、院生師範全員が賛成した場合に限り、19歳に達する学年度まで延長できます。

院生の期限が過ぎても、プロへの道が完全に閉ざされるわけではありません。

日本棋院の棋士採用規程では、プロとして採用する年齢を男女ともに採用時に23歳未満としています。

院生を卒業したあとも、条件を満たせば外来受験者としてプロ棋士採用試験に挑戦できる場合があります。

ただし、年齢や国籍、棋譜審査などの条件があり、拠点や年度によって外来受験の実施状況も異なるため、最新の情報を公式団体のサイトで確認するとよいでしょう。

関西棋院の院生は年齢制限がゆるやか

関西棋院の院生は、原則として入会年齢の制限がありません。

院生の資格を失うのは、男子は18歳の誕生日、女子は20歳の誕生日です。

項目 日本棋院 関西棋院
志願できる年齢 原則、翌年4月1日までに15歳未満 原則、制限なし
在籍の期限 原則、満17歳に達した学年度まで(中部・関西は19歳に達する学年度まで延長あり) 男子は18歳の誕生日、女子は20歳の誕生日まで

関西棋院の規定では、病気や事故で休場する場合、診断書を出せば最大1年間の休場が認められます。

その期間の分、年齢制限も後ろにずれる仕組みです。

囲碁の院生にかかる費用

院生になると、入会金と毎月の月謝(授業料)がかかります。

日本棋院は月29,800円、関西棋院は月22,000円(税込)です。

このほか、試験を受けるための費用や、通うための交通費も必要です。

ここでは、団体ごとの費用と、月謝以外にかかるお金を整理します。

日本棋院の院生の費用(入会金・授業料・試験碁料)

日本棋院の院生の費用は、3拠点とも入会金33,000円、月29,800円です。

拠点 審査の費用 入会金 月謝(授業料) 支払い方
東京本院 試験碁料11,000円 33,000円 29,800円 合格後に試採用期間3か月分を振り込み
中部総本部 申込金3,300円、棋譜審査料11,000円 33,000円 29,800円 毎月前納
関西総本部 申込金3,300円、試験碁料11,000円 33,000円 29,800円 3か月ごとに前納

研修を休む場合は、月謝の半額を払います。

休場できるのは最長6か月までです。

中部総本部と関西総本部では、院生を辞退しても、納めた月謝は返金されません。

年間で考えると、月謝だけで357,600円(29,800円×12か月)になります。

中部総本部では、夏や冬に合宿を行う場合に別途合宿費がかかることもあります。

最新の情報は、各公式団体のホームページなどで確認してください。

関西棋院の院生の費用

関西棋院の院生の費用は、月謝22,000円(税込)、保証金50,000円、試験料22,000円(税込)です。

保証金は、プロ棋士になる(入段する)と返金されます。

関西棋院の院生規定によると、退会する場合は返金されません。

日本棋院と比べると、月謝は7,800円安くなっています。

一方で、保証金50,000円が最初に必要です。

交通費など、月謝以外にかかるお金

月謝のほかに見落としがちなのが、毎週末の交通費です。

院生の研修は毎週土日にあるため、月に8回前後通うことになります。

院生がある場所は東京・名古屋・大阪の3都市だけです。

遠方から通う場合は、新幹線代や宿泊費がかかることもあります。

小さな子どもなら保護者の付き添いも必要になり、その分の交通費も見込んでおきましょう。

院生を検討するときは、月謝に交通費を足した月の総額を一度計算しておくと安心です。

囲碁の院生の強さとクラス・序列の仕組み

院生は、入る時点でアマチュア高段の棋力を持つ子どもたちの集まりです。

その中でさらにクラス分けがあり、毎月の成績で序列(順位)が決まります。

序列は、プロ棋士への採用に直結する大切な数字です。

ここでは、院生の強さ、クラス分けの仕組み、序列とプロ採用の関係を説明します。

院生はどれくらい強い?アマ段位との比較

院生の強さは、入る時点でアマ六段前後が目安とされています。

日本棋院は「14歳で六段位」、関西棋院の公式概要では「アマ六段前後」が目安とされています。

つまり、院生になる時点で、すでにアマの高段者に近い棋力が求められるわけです。

そこから毎週プロ棋士の指導を受け、院生同士で真剣勝負を重ねるため、在籍中にさらに強くなっていきます。

上位クラスの院生は、プロ棋士の採用試験で合格を争う実力者たちです。

院生の中で勝ち抜くこと自体が、プロへの最終試験に近いといえます。

院生のクラス分け(A〜Dクラス)

日本棋院の東京本院では、院生をA〜Dの4クラスに分けています。

A・Bクラスは各10名で、C・Dクラスの人数はその時の院生数しだいです。

項目 内容(東京本院)
クラス A・Bクラスは各10名、C・Dクラスは人数で決定
序列の決まり方 毎月の成績で決定(序列表は翌月の研修日初日に配布)
休場からの復帰 AクラスはCクラスの最下位から、Bクラス以下は1クラス下の最下位から

休場すると、クラスが下がってからの復帰になります。

Aクラスの院生でも、休むとCクラスの最下位からやり直しです。

中部総本部では、クラス別にリーグ戦を行い、成績に応じて入れ替えと順位付けをしています。

関西棋院は、院生独自の級位で実力を表します。

級位の範囲は男子が初段格から10級、女子が3級から10級です。

Aクラス(4級以上)とBクラスがあり、Aクラスは12勝4敗、Bクラスは9勝3敗で昇級します。

院生序列とプロ棋士採用の関係

院生序列が、プロ棋士になれるかどうかの分かれ目です。

日本棋院の東京本院の夏季採用では、4月・5月・6月の研修で総合成績1位の院生がプロに採用されます。

日本棋院の主な採用ルートは、次のとおりです(日本棋院棋士採用規程・2025年2月4日改定)。

中部総本部の募集要項には、院生リーグの順位によって採用試験の予選参加や本戦シードが決まると書かれています。

毎月の序列を少しでも上げることが、プロへの近道です。

採用人数は多くありません。

2027年度の通常の採用枠は、正棋士5名と女流特別採用棋士1名の計6名です。

これに加えて、日本棋院の規程に基づく若干名の特別採用枠もあります。

なお、2028〜2031年度は、正棋士と女流特別採用棋士を合わせて各年度4名の採用予定となっています。

関西棋院では、院生手合で男子は初段格で12勝4敗以上、女子は4級で12勝4敗以上の成績を収めると、審査を経てプロ入りが決まる仕組みです。

日本棋院は東京本院・中部総本部・関西総本部の序列表を毎月公式サイトに載せており、関西棋院も院生序列のPDFを公開しています。

囲碁の院生の生活|学校と両立しながら土日に研修

院生の生活は、平日は学校、土日は棋院で研修という形が基本です。

院生の多くは小中学生や高校生のため、学校生活と囲碁を両立しながらプロを目指します。

週末はほぼ研修でうまるため、家族で出かける予定や学校行事との調整も必要です。

ここでは、研修日の過ごし方と、プロになれなかった場合の進路を紹介します。

毎週土日が研修日(院生手合)

院生の研修日は、どの拠点も毎週土曜日と日曜日です。

日本棋院の東京本院は月8回、中部総本部は年間96回の研修を行っています。

拠点 研修日
日本棋院 東京本院 毎週土・日曜日、月8回(変更の場合あり)
日本棋院 中部総本部 毎週土・日曜日、年間96回
日本棋院 関西総本部 毎週土・日曜日(合宿などで休みの場合あり)
関西棋院 毎週土・日曜日、10時から(院生手合は1日2局まで)

研修では、院生同士の対局(院生手合)を行い、院生師範の指導を受けます。

一局一局の勝敗が序列に響くため、週末の対局は真剣勝負そのものです。

平日は学校に通い、空いた時間に詰碁や棋譜並べなどで勉強を重ねる生活になります。

院生をやめる・プロになれなかった場合の進路

院生の全員がプロになれるわけではありません。

院生をやめた場合の進路は、人によってさまざまです。

院生として打ち込んだ経験は、どの道に進んでも無駄にはなりません。

目標に向かって努力を続けた時間は、勉強や仕事にも生かせるはずです。

院生になる前に、もしプロになれなかったらどうするか、親子で話し合っておくと安心できます。

まとめ

院生は、プロ棋士を目指す子どもが土日に研修を受ける制度です。

日本棋院の東京本院・中部総本部・関西総本部と、関西棋院の4か所にあります。

項目 日本棋院 関西棋院
棋力の目安 14歳で六段位 アマ六段前後
志願できる年齢 原則、翌年4月1日までに15歳未満 原則、制限なし
在籍の期限 原則、満17歳に達した学年度まで 男子18歳・女子20歳の誕生日まで
月謝 29,800円 22,000円(税込)
入会時の費用 入会金33,000円 保証金50,000円(入段時に返金)

日本棋院は志願できる年齢が早めに締め切られるため、迷っているなら早めに動くことが大切です。

まずは通える拠点の院生募集ページで最新の要項を確認し、問い合わせや見学の申し込みから始めてみてください。

【参考】

・プロ棋士志願者募集 | 棋士 | 囲碁の日本棋院 https://www.nihonkiin.or.jp/player/saiyou/

・院生制度|一般財団法人関西棋院 https://kansaikiin.jp/subpage/insei.html