囲碁の女流棋士とは?一覧・タイトル保持者・最年少記録を解説!最強は誰?
「囲碁の女流棋士って、どんな人がいるんだろう?」「今いちばん強いのは誰?」。
ニュースで女流棋士の名前を見かけて、気になった方も多いのではないでしょうか。
10歳でプロになった天才少女や、男女混合の棋戦で優勝した棋士もいて、女流棋士も近年ますます盛り上がりをみせています。
この記事では、女流棋士の基礎知識から、主な現役棋士の一覧、女流タイトルと保持者、最年少記録、そして「最強は誰か」までをまとめました。
なお、情報は2026年10月時点のものです。
囲碁の女流棋士とは?
囲碁の女流棋士とは、日本棋院や関西棋院に所属する女性のプロ棋士のことです。
将棋では「棋士」と「女流棋士」は別の制度です。
しかし、囲碁では女流棋士も男性棋士と同じプロ棋士として、ほとんどの公式戦に出場します。
ここでは、女流棋士の基本的な位置づけ、プロになるまでの道のり、そして人数の目安を順に見ていきます。
女流棋士の基本|女性のプロ棋士のこと
囲碁の女流棋士は、性別による区別がほぼない「プロ棋士」です。 棋聖戦や名人戦といった七大タイトル戦にも、男性と同じ条件で参加します。
そのうえで、女性だけが出場できる「女流棋戦」も用意されています。
女流本因坊戦や女流名人戦、女流棋聖戦などがその代表格。
女流棋士は男女混合の棋戦と女流棋戦の両方を戦い、勝ち星やタイトルを積み重ねていきます。
なお、将棋の女流棋士は「棋士」とは別の資格です。
囲碁と将棋では同じ言葉でも意味が違うので、混同しないよう気をつけましょう。
女流棋士になる方法(採用制度)
日本棋院でプロになるルートは、大きく分けて2つあります。
1つ目は、男女を問わず受けられる「正棋士」の採用試験です。 院生として腕を磨き、厳しいリーグ戦を勝ち抜いた人だけが入段できます。
2つ目が、女性だけが対象の「女流特別採用」。
日本棋院では毎年、女流特別採用棋士の採用試験を行っています。
女性はこの2つのルートのどちらかでプロを目指せます。
ほかに、国際棋戦で活躍できる若手を育てる「英才特別採用」という推薦制度もあります。
女流棋士の人数
日本棋院と関西棋院を合わせた囲碁の女流棋士の人数は、およそ100人前後といわれていますが、正確な人数は公式サイトでの公表はされていません。
おおよそプロ棋士全体のおよそ5人に1人が女性という規模感といえるでしょう。
囲碁の女流棋士一覧|主な現役棋士
女流棋士は100人近くいるため、ここでは全員ではなく、タイトル保持者や実績のある棋士を中心に紹介します。
段位とタイトルは、日本棋院の棋士一覧をもとにしています。
「名前は聞いたことがあるけれど、どんな実績の人?」という方は、ここから気になる棋士を探してみてください。
第一線で活躍するトップ棋士
現在の女流棋界の中心にいるのは、上野愛咲美六段と藤沢里菜七段の2人です。
| 棋士 | 段位 | 所属 | 主な実績・保持タイトル |
|---|---|---|---|
| 上野愛咲美 | 六段 | 日本棋院 | 女流名人・女流棋聖・扇興杯の3冠。SENKO CUPワールド碁女流最強戦2022優勝 |
| 藤沢里菜 | 七段 | 日本棋院 | 女流本因坊。女流本因坊戦6連覇中。2020年に男女混合の若鯉戦で女性初の優勝 |
| 上野梨紗 | 四段 | 日本棋院 | 女流棋聖の獲得経験あり。第45期女流本因坊戦の挑戦者 |
| 仲邑菫 | 六段 | 韓国棋院 | 史上最年少の10歳0カ月でプロ入り。2024年から韓国棋院で活動 |
上野愛咲美六段は、攻撃的な棋風から「ハンマー」の愛称で知られる棋士です。
2026年1月には妹の上野梨紗四段から女流棋聖を奪い返し、女流タイトルを3つ持っています。
詳しい経歴は、PlayGo.ggの上野愛咲美のプロフィールでも紹介しています。
藤沢里菜七段は、藤沢秀行名誉棋聖の孫にあたります。
女流本因坊を6期連続で保持しており、第45期で7連覇がかかっています。
棋譜や経歴は藤沢里菜のプロフィールをご覧ください。
経験豊富なベテラン・実力派の棋士
トップ2人を追うのが、長く第一線で戦ってきたベテラン棋士たちです。
| 棋士 | 段位 | 主な実績 |
|---|---|---|
| 謝依旻 | 七段 | 女流本因坊などの女流タイトルを数多く獲得してきた実力者 |
| 向井千瑛 | 六段 | 2026年に日本棋院の公式戦となったフマキラー囲碁女流ブレーンズマッチで初優勝 |
| 小林泉美 | 七段 | テイケイグループ杯女流レジェンド戦で優勝(第5回) |
| 鈴木歩 | 七段 | 長く第一線で戦ってきた実力派 |
| 加藤啓子 | 六段 | 長年活躍を続けるベテラン |
ベテラン勢は、若手が台頭した今でも存在感を放っています。
2021年に始まった女流レジェンド戦は、こうした実力者の対局を楽しめる場です。
注目の若手棋士
若手で最も注目を集めているのは、上野梨紗四段でしょう。
姉の愛咲美六段とは、女流棋聖戦で姉妹によるタイトル戦を戦いました。
今期の女流本因坊戦では挑戦者として藤沢里菜七段に挑んでいます。
韓国棋院に移った仲邑菫さんも、日本の囲碁ファンが動向を追う一人です。
2026年8月に発表された韓国棋院のランキングでは、女子3位に入っています。
女流タイトル一覧と現在の保持者
日本棋院の女性棋戦ページには、女性だけが出場できる個人戦が6つと、団体戦の日本女子囲碁リーグが掲載されています。
なかでも格が高いのが「女流三大タイトル」と呼ばれる女流本因坊・女流名人・女流棋聖です。
女流三大タイトル|女流本因坊・女流名人・女流棋聖
女流三大タイトルの概要は次のとおりです。
| タイトル | 設立 | 優勝賞金 | 直近の優勝者 |
|---|---|---|---|
| 女流本因坊戦 | 1981年 | 550万円 | 第44期 藤沢里菜 |
| 女流名人戦 | 1988年 | 1,000万円 | 第37期 上野愛咲美 |
| 女流棋聖戦 | 1997年 | 500万円 | 第29期 上野愛咲美 |
女流本因坊戦は1981年に始まった、女流棋戦の中で最も歴史のあるタイトル戦です。
前期の優勝者に、トーナメントを勝ち上がった挑戦者が挑む「挑戦手合制」で行われます。
番勝負は五番勝負で、先に3勝した棋士がタイトルを手にします。
女流名人戦は1988年に始まったタイトル戦で、優勝賞金が女流棋戦の中でもトップクラスです。
番勝負は三番勝負で、2勝した棋士がタイトルを獲得します。
女流棋聖戦は1997年に始まり、三番勝負で女流棋聖の座を争います。
若手が一気に勝ち上がってタイトルを奪うことも多い棋戦です。
史上最年少でのタイトル獲得など、記録が生まれる舞台にもなってきました。
その他の女流棋戦
三大タイトルのほかにも、個性的な女流棋戦があります。
| 棋戦 | 設立 | 優勝賞金 | 直近の優勝者 |
|---|---|---|---|
| 扇興杯女流囲碁最強戦 | 2015年 | 1,000万円 | 第11回 上野愛咲美 |
| フマキラー囲碁女流ブレーンズマッチ | 2026年(公式戦化) | 400万円 | 2026年 向井千瑛 |
| テイケイグループ杯女流レジェンド戦 | 2021年 | 140万円 | 第5回 小林泉美 |
| 日本女子囲碁リーグ | 2024年 | 600万円 | 第2回 チームセンコーグループ |
扇興杯は、女流名人戦と並んで優勝賞金が1,000万円と高額です。
日本女子囲碁リーグは、個人ではなくチームで戦う新しい形式の棋戦として注目されています。
フマキラー囲碁女流ブレーンズマッチは、2021年からフマキラー株式会社の主催で5回開かれてきた大会です。
2026年から日本棋院主催の公式戦に移りました。
囲碁の女流棋士の最年少記録
囲碁界では、若くしてプロになり、すぐに結果を出す女流棋士が次々と現れています。
最年少記録を塗り替えてきたのは、仲邑菫さんと藤沢里菜七段です。
ここでは、プロ入りの最年少記録と、そのほかの主な記録を紹介します。
史上最年少プロ入りは仲邑菫さん(10歳0カ月)
囲碁の史上最年少プロは、2019年4月に10歳0カ月で入段した仲邑菫さんです。
それまでの記録は藤沢里菜七段の11歳6カ月で、9年ぶりの更新でした。
仲邑さんは、日本棋院が新設した「英才特別採用推薦棋士」の第1号として初段になりました。
この制度は、世界で戦える棋士を育てる目的で作られたものです。
小学生のプロ誕生は大きなニュースになり、囲碁を知らない人にまで名前が広まりました。
その後、仲邑さんは2024年に韓国棋院へ移籍しました。
より強い相手と打つ環境を求めての決断で、現在は韓国のトップ女流棋士たちと競い合っています。
最年少勝利・タイトル獲得などその他の記録
仲邑さんは、プロ入り後も最年少記録を次々と更新しました。
- 公式戦の初勝利:2019年7月、10歳4カ月で達成。藤沢里菜七段の11歳8カ月の記録を塗り替えた。
- 女流タイトル獲得:2023年、第26期女流棋聖戦で上野愛咲美女流棋聖を破り、13歳11カ月でタイトルを獲得。それまでの最年少記録は藤沢里菜七段のもので、1年10カ月縮めた。
藤沢里菜七段も、かつては最年少記録を総なめにしていました。
若い女流棋士がベテランを破る光景は、今の囲碁界ではめずらしくありません。
女流棋士の強さ|最強は誰?
公式な「女流棋士ランキング」はないため、ここでは獲得したタイトルや男女混合の棋戦での成績から考えてみましょう。
現在最強と言われる女流棋士
最強の女流棋士として名前が挙がるのは、上野愛咲美六段と藤沢里菜七段の二人です。
女流タイトルの保持数で見ると、トップは上野愛咲美六段です。
女流名人・女流棋聖・扇興杯の3冠を持ち、女流タイトルをひと通り獲得した経験もあります。
2022年には国際棋戦のSENKO CUPワールド碁女流最強戦で優勝しました。
日本の女子棋士が国際棋戦で世界一になったのは、この大会が初めてです。
また、藤沢里菜七段は、女流本因坊を6期連続で保持しています。
第45期で防衛すれば、通算10期目かつ単独最多の7連覇となります。
この二人を追いかけているのが、上野愛咲美六段の妹・上野梨紗四段です。
2025年には「SENKO CUPワールド碁女流最強戦2025」で、韓国の崔精九段を破って初優勝しました。
姉の愛咲美六段も2022年に同じ大会で優勝しており、姉妹そろって世界一を経験したことになります。
10代で世界の頂点に立った梨紗四段が、二人と最強の座を争う日はそう遠くないかもしれません。
男性棋士と比べて強さはどうか
女流棋士の実力は、男女混合の棋戦でも十分に通用しているといえるでしょう。
代表的な例をみていきます。
- 上野愛咲美六段:2019年、全棋士が参加する竜星戦で決勝に進み準優勝。2021年には新人王戦でも決勝三番勝負に進出した。
- 藤沢里菜七段:2020年、男女混合の広島アルミ杯若鯉戦で、女性として史上初の優勝を果たした。
2019年には藤沢里菜七段が天元戦で、女性棋士として初めて七大タイトル戦の本戦で勝利しました。
七大タイトルの壁はまだ高いものの、女流棋士と男性トップ棋士との差は確実に縮まっているといえるでしょう。
女流棋士の対局を見るには?
女流棋士の対局は、テレビやネットで気軽に観戦できます。
日本棋院の公式サイトでは、各棋戦の結果や日程が随時更新されています。
日本棋院や囲碁・将棋チャンネルのYouTubeでは、プロ棋士の解説つきで対局を楽しめます。
ぜひチェックしてみてください。
まとめ
囲碁の女流棋士は、男性と同じ舞台で戦うプロ棋士です。
女流棋戦では、上野愛咲美六段と藤沢里菜七段の2強を中心に、上野梨紗四段などの若手が追いかける構図になっています。
この記事のポイントを振り返ります。
- 女流棋士は日本棋院・関西棋院に所属する女性のプロ棋士で、約100人いる
- 女流三大タイトルは女流本因坊・女流名人・女流棋聖
- 史上最年少プロは、10歳0カ月で入段した仲邑菫さん
- 現在の2強は、3冠の上野愛咲美六段と、女流本因坊6連覇中の藤沢里菜七段
「自分もやってみたい」と思ったら、さっそくPlayGo.ggで気軽に囲碁に触れてみましょう。
実際に盤上でルールから覚えられます。
ぜひ気軽に試してみてください。